CSUGとTeledyne e2v、オンボード画像処理能力を備えた、AI対応のスマート・ナノサテライトをSpace Tech Expo 2021で公開
グルノーブル、2021年11月10日 – グルノーブル大学宇宙センター（CSUG）はTeledyne e2vと連携し、今年のSpace Tech Expoでキューブサット用高性能イメージ解析システムのデモンストレーションを行います。地上観測を目的としたこのシステムではオンボードで画像処理を実行し、単純化された二値画像マップを生成して宇宙から送信します。このため、必要な帯域幅を大幅に削減できます。
最新の開発品であるQlevEr Satのデモ版は，6Uキューブサット（10cm x 20cm x 30cm のサイズ）での使用を想定した設計で，CSUGとTeledyne e2vが４年前から共同開発してきたものです。システムの中核となるハードウェアは，Teledyne e2vのクアッドコア1.8GHz Qormino QLS1046-Spaceプロセッシング・モジュールです。コンパクトな宇宙グレードユニットに、64-bit Arm Cortex A72プロセッサコアと4GBのDDR4メモリが搭載されています。イメージングデータを取得する16メガピクセルのEmerald CMOSイメージセンサーも，Teledyne e2vが提供しています。
QlevEr Sat systemで取り込んだ広範囲をカバーする画像を，テーラーメイドの高度な人工知能（AI）を搭載したプロセッサユニットでオンボード処理します。AIには人工知能学際研究所（MIAI）が開発した、組み込みターゲットに最適化したアルゴリズムを採用しています。このシステムには，様々な用途が考えられます。最初のユースケースとなった森林破壊状況の追跡のほか，火山活動の監視，自然災害や人災，都市化の拡大，氷河運動や海洋調査，さらに防衛関連の活動などが挙げられます。
Qorminoが過酷な宇宙環境下での長期運用に耐えられる堅牢性をもってエラー発生頻度を低減できるよう，モジュールには徹底的な適合性評価、スクリーニング、放射線特性評価を行っています。プロセッサだけでなくDDR4メモリについても評価しており、モジュール全体としてトータルドーズ（TID）で100kRad，シングルイベントラッチアップ（SEL）で60MeV.cm²/mgまでの耐性があります。動作温度範囲は-55°Cから+125°Cの範囲をカバーしており，宇宙船への搭載に対応しています。
「AI機能を直接キューブサットに統合することで，データ伝送に必要な帯域幅を大幅に削減できます。軌道にはすでに多くの衛星があるため、これは明らかにメリットがあると言えます。今回展示するQlevEr Satデモ版には，省スペースでPCBに搭載できる耐放射線性プロセッサを採用しています。」CSGUのプロジェクトマネージャー，タニア・マクナマラ（Tania McNamara）は述べています。「このシステムは，地表の変化の調査が要求される様々なユースケースシナリオに対応できると考えています。」
Teledyne e2vのアプリケーションエンジニア，トーマス・ポルシェ（Thomas Porchez）は「宇宙空間で使用する場合、消費できる電力や機器の設置スペースに制約が出てきます。」と述べています。「QlevEr Satでは、当社の次世代プロセッサ，メモリ，そしてオプトエレクトロニック・デバイスを最新のAI技術と組み合わせることで，難しい問題を克服しています。このため、画像取得やその後の処理が、最小サイズの衛星で可能になっています。その結果，多くのチャンスが生まれていると感じています。」
プロジェクトの詳細についてはこちらをご覧ください。 Qormino®プロセシングモジュールが実現する、宇宙空間でのディープ・ラーニングAI – Teledyne e2v (teledyne-e2v.jpn.com)
Teledyne e2vについて
Teledyne e2vはその技術革新により、ヘルスケア、ライフサイエンス、宇宙、輸送、軍事安全保障、工業といった市場の発展をもたらしています。独自のアプローチで市場とお客様の用途の課題を丹念に吸い上げ、お客様とのパートナーシップによって革新的なソリューションを提供します。標準的なソリューションだけでなく、一部、あるいは完全にカスタマイズすることで、システムの価値をさらに高めていきます。
ウェブサイトはこちら 半導体 – Teledyne e2v (teledyne-e2v.jpn.com)